札幌啓成高等学校同窓会 雪笹会

OB訪問レポート

第5回 第5期 水越 有史郎 さん

1982年からシドニー在住
日本語情報誌の出版社役員・ビザ・コンサルタント
(ビザ申請代行の国家資格を取得、認定ビザ申請代理人業務)
シドニー日本クラブ副会長、北海道人会の会長
北海道新聞「どさん子・世界から」コラムのオーストラリア編記事を連載中

高校卒業して37年、今はシドニー在住27年ということですが、今日に到った水越さんの軌跡をお聞かせいただけますか?まずは高校卒業してから?

とにかく早くあこがれの東京へと、高校卒業と同時に上野行きの列車に乗っておりました。昼は働き、夜大学に…誠に感心な学生生活でしたが、70年代はサブカル、アングラの時代で、勉強なんかまったくせずに、好きなことをしていました。(そのつけが後々回ってきましたが…)

大学卒業してそのまま日本で就職することは考えなかったのですか?

考えなかったですね~それより今度は、とにかく早くあこがれの海外へと、大学卒業を前にバンコク行きの"空飛ぶ棺桶"エジプト航空に乗ってました。1979年2月の24歳のときでした。目指すはインド、ネパールひとり旅、まずインドのカルカッタに降り立ったのですが、まさにカルチャーショックの連続でした。結局6ヵ月間インド・ネパールを放浪して学び、感じたことは「人間、どうやっても生きて行ける」という諦観・ご都合主義の実にいい加減な哲学です。
その後、東南アジアを旅して帰国したのですが、旅行中、ロンリープラネット社のガイドブックに大いに助けられ、こんな日本語のガイドブックがあったら良いなと思い、翌年、自分でガイドブックを作るために再び旅立ちました。その旅で、1980年11月オーストラリアに初めて行きました。オーストラリアは東南アジア取材旅行の途中に立ち寄った国で、別に予備知識もあこがれも何もありませんでした。でも、このときの体験がきっかけで、結局、ずっと住み続けることになってしまったのですが…。

不思議ですね…高校時代、海外で生活したいという話も聞いたこともなく、まず英語が得意というイメ-ジはなかったのですが?

人間、一寸先は闇ならぬ、ふとした縁で海外暮らしです。もともと海外に住むことを夢見ていたわけでもありませんし、大体、英語がまったく嫌いで、どこへ行っても身振り手振りのボディランゲージ状態、まあ、インドでの体験が、ジャパニーズ・イングリッシュ、ブロークン・イングリッシュでも立派に生きて行けると変な自信を持ってしまったのが大きな勘違いでしたね。(それほどインド人の英語は癖のある英語でした。でも通じているんです)片言でもとにかく話さないことには通じませんから、そのうち英語の夢を見るようになってからですね、何とか異国の地で生活ができるようになったのは。

英語の夢ですか…、そのガイドブック自分でお作りになったのですか?

1982年の夏にグループ・オデッセイという出版社からガイドブックの発行することが決まり、印刷所から本が届いた翌日には、クアラルンプール経由シドニー行きのマレーシア航空に乗っていましたね。
それから、就職、結婚(奥様は日本人)、1988年には、日本語情報誌の発行や印刷物制作の出版社を起こしオーストラリアの生活情報を日本語に翻訳してまとめて、現地日系社会に提供してきました。2008年にウエブサイト運営会社と合併し、今は制作担当取締役として、情報誌の出版・制作・サイト運営に携わっています。
独立・起業と、あっという間に30年近く経ってしまいました。

異国にいると、かえって日本やふるさとを思い出したりすることがあるといいますが北海道や札幌の思い出はありますか?

私が一番誇りにしていることが北海道に生まれ育ったということですね。オホーツクの港町に生まれたせいか、流氷の壮大さや北海道の自然、そして道産子の気質に、内地の人間にはない誇れるものを感じています。生まれ育った風土によって育まれた性格・気質が、客観的に物事を見る目を養ってくれたのかと感じることがあります。
それにオーストラリアはどことなく北海道に似てるんですよ。スケールは違いますが広大な大地、植民・移民の歴史、おおらかな気質など、結構、共通点があります。だからこそ自分も簡単に海外に出て、異国に住むようになったのかもしれません。
北海道が大好きだから、こちらで北海道人会を作り、集まってはジンギスカンや石狩鍋のパーティをしています。また、YOSAKOIソーランのチームを作って踊っています。オペラハウスのイベントなどで踊ったりして、オーストラリア人にもYOSAKOIの楽しさを感じてもらおうとしています。いつか札幌で踊ってみたいですね。

今年のYOSAKOIソ-ラン祭りでも海外チ-ムの参加がありました、是非踊ってください、オーストラリアチ-ムの参加を楽しみにしてます。 水越さんの原点とも言えるのではないかと思いますが、高校時代 啓成生としてどのような日々を過ごしたのですか?

私はなにが自慢かって、啓成高校を卒業したことが大きな自慢です。と言っても、最初からつまずいてましたが。なにせ入学試験が大雪で延期され、それに我々5期は、卒業式がなかった生徒です。忘れようたって、忘れることができません。5期生は1954年か55年生まれで、いわゆる団塊の世代の後の世代です。そして新人類と呼ばれた世代の前の世代で、前後に存在感のある世代があるものだから、我々は"谷間の世代""忘れられた世代"などと揶揄されていました。
当時は、学生運動の激しかった時代ですから、大学生に憧れて、早く東京に行って機動隊に石を投げたいなどと妄想し、行けないうっぷんをビラまきや、市内のデモ行進で晴らしていました。大体、入学してすぐに、高校生の政治活動についての全校集会が何日も続くような状況です。こんな楽しいことはありません。
時代の流行病に感染したといわれればそれまでですが、とにかく"あの時代"に生きていたこと、それも高校生という自分でいられたことが何よりも誇りに思うことです。例え、つまずいた青春でも。

所詮、私たちは時代状況に左右され、翻弄されるのが常です。でもその時代の渦中にいるとそんなことは思いもせずに、必死にみな生きていきます。そんな中、ひとつでも懸命に生きたことがあればよいと思います。私にとって、大人でも子どもでもない多感な高校生という時期に、啓成高校で過ごした3年間は実に恥ずかしくも楽しかった、そんなひとつの生きた証しですね。
その後のインドやアジアの放浪の旅も、つまずきながらの悪戦苦闘の旅でしたが、私の生きた証しですし、シドニーでの暮らしもまたそういうものです。

そうですね。私も高校3年間は忘れられない、いろいろなことが凝縮された日々でしたし、時代に流されながらも悩みながら本当に懸命に過ごした時期だったと思います。今思うといい高校時代を過ごしたと思いますね。卒業してから37年経ち、今の後輩に異国にいるからこそ言えるメッセ-ジをお願いします。

目標に向かって頑張れば、努力すれば、必ず道は開ける」などというのはウソです。どんなに頑張っても、無理なものは無理です。でも、夢を持って、その気持ちをいつまでも持ち続けることは大事だと思います。私の人生は、高校入学時からのつまずきが、その後もず?っと続いて、流れ流れてオーストラリアに住み着いてしまいました。(当初、2年の予定が、30年近くになってしまいました。)このように、人生どうなるか分かったものではありません。だからこそ「人間、どうやっても生きて行ける」です。夢を持ち続けていれば、ふと、その時の気持ちを思い出します。そして自分を見つめ直すことができるはずです。

ひとつだけ、考えてもらいたいことがあります。キーワードは「多様性」と「寛容」です。オーストラリアというか、海外にいると、日本のことがかなりはっきりと見えてきます。良いところも悪いところも。そしてどうしても日本と比較することが多く、ついつい「日本では…」「日本人なら…」などと考えてしまいますが、それはほとんどが驕りからくるものです、まあ、日本人特有の傲慢さですね。
私たちは自分と違うものに出会うと、なかなか受け入れることができずに、恐怖や反発、嫌悪感が先に出てしまいます。シドニーに暮らしはじめてすぐの時期に、アジア人を排除する論争が起きました。Asian go home ! です。その後、白豪主義を掲げる政党が進出するなどしました。そして、9.11以降は、中東系の移民に対するバッシングが起きています。
こういう排除の考え方は仕方のないものだと思いますが、こと人間の社会では、多様性や寛容は私たちの感覚を豊かにしてくれるものだと思います。違いを排除するのではなく認め合えるかどうかが、特にこれからの世界には求められていると思うのです。

最近の中高生は「ウザイ」「ダサイ」「キモイ」「死ね」の4つしか言葉を知らないようですが、仲間とつるむのではなく、もっと自分の個性を出して好きに生きたら良いのにと思います。人との関係は実に面倒なものですが、あまり内にこもってしまうと、社会に活力がなくなり、大丈夫かなと心配になります。確かにインターネットでさまざまな情報が瞬時に得られるようになり、何でも知ってしまったかのような時代状況に生きている今の高校生には、夢を持ったりチャレンジするものを見つけるのが困難なことかもしれません。

で、閉塞感にアップアップしたり、落ち込んだときに元気になるTipsをご紹介します。

1. Go outside into the sunlight.(外に出て太陽の光を浴びる)
2. Go for a brisk walk.(散歩に出る)
3. Act with energy.(とにかく動いてみる)
4. Listen to your favorite upbeat song.(気に入ったアップテンポの曲を聴く)
5. Talk to an energetic friend.(いつも元気な人と話す)
6. Tackle an item on your to-do list.("やることリスト"から何かひとつ片付ける)
7. Clean up.(とにかく掃除をする)
8. Drink some COFFEE!(コーヒーでも飲んで一息入れる)
(出典:http://www.happiness-project.com"Nine tips for giving yourself an energy boost in the next TEN MINUTES")

ありがとうございました。
「多様性」と「寛容」と「夢」これは、高校生だけではなく今を生きている私達にも大事なことですね
高校時代からしっかりとした意思を持ちながらも、ひょうひょうとした雰囲気で過ごしていた水越さん、これからもシドニーでのご活躍期待しています。